さようなら、憂鬱な木曜日

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さようなら、憂鬱な木曜日

サラリーマンの投資ログなど

中小企業の社員は自社の財務諸表を見ることはできるのかを調べてみた

仕事・働き方

財務諸表とは損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、株主資本等変動計算書*1などの計算書類のことをいい、企業の状態や活動を表す基礎的な情報が記載されているものである。
私は株式投資をするときは、必ず財務諸表を隅から隅まで見て、その企業の財政状態をチェックする。財務諸表をチェックすることで、その企業が今置かれている状況が見えてくるからだ。

いつものように、次の投資先の財務諸表をチェックしている時に、ふと思った。
「中小企業(非上場会社)の社員って、自社の財務諸表を見ることはできるのかな」
上場企業であれば、インターネット上でその企業の財務諸表を誰でも自由に見ることができるが、中小企業というのは、法的にすべての財務諸表を開示する義務もないし、ネット上で公開している企業なんてほとんどないだろう(公開するメリットはない)。

しかし、自分の会社が今どのような状態にあるのかを財務諸表でチェックすることは、とても重要なことなのではないかと思っている。
経営論で「すべての従業員は経営者目線で仕事をしろ」なんていう意見もある。売上が落ちているのであれば、営業はもっと頑張らなければと思うし、販管費が多く利益が出ていないのであれば、もっとコスト削減しなければ、と節約意識も高まるかもしれない。あるいは、倒産リスクの有無だって推し量ることができる。


考えてみると、社員からしたらメリットしかない。それでは、法的に社員は自社の財務諸表を見ることはできるのか。

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■中小企業の社員は自社の財務諸表を見ることはできるのか?

結論としては、法律上、社員が自社の財務諸表を見る権限はない。

会社法では計算書類の閲覧についてこう規定されている。

(計算書類等の備置き及び閲覧等)
第四百四十二条
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。(省略)
一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求

つまり、法的に財務諸表を閲覧できる権限があるのは、株主と債権者のみである。
株主と債権者とは一体誰か。

株主・・・その会社の株式を持っている人。中小企業であれば、経営者や役員が株主であることが多い。
債権者・・・その会社に対して債権を有している人。お金を貸している銀行など。

ここに社員は規定されていない。社員は会社に対して給与債権を持っている、という理屈もあるにはあるが、ちょっと強引すぎるだろう。

会社法では、社員は財務諸表を閲覧する権利を付与されていないのである。

 

■許可を貰わずに確認する方法
別に会社に許可を貰わなくても、財務諸表を構成する主要な数字だけであれば、確認する方法はある。

1.官報を見る
株式会社は会社法440条において、貸借対照法又はその要旨を公告しなければならない、と定められている。
いわゆる決算公告と言われるものだが、債務超過でないかどうか、内部留保がどれくらいあるのか、ぐらいを確認することはできるだろう。
3月決算の法人であれば、6月~7月くらいのは載るだろう。

2.採用ページを見る
もしその企業がリクナビやマイナビなどの大手採用サイトにページを持っていれば、そこに直近の売上データが掲載されていることが多い。ただし数字の信憑性は保証できない。

3.信用調査会社を利用する
有料になるが、例えば大手の帝国データバンクであれば、1件当り490円で、売上、利益、自己資本比率などが確認できる(サンプル)。あと有名なところでは、東京商工リサーチがあり、この2社で日本の9割のシェアを占めると言われている。

上記の方法は、財務諸表に記載されている一部の情報しか入手できないが、業績の一端を見ることができるという点で利用価値はあるだろう。

 

■新卒者、転職者は希望企業の業績を確認するべき
少し話は変わるけれど、もし新卒者、あるいは転職を考えている人がいて、希望先が上場会社であれば、絶対に企業のIRページに行って財務諸表を見たほうが良い。まず、財務諸表の数字が読めることが前提だが、その会社に入社するべきかどうかの大きな指標となるだろう。
現在では、就職四季報という有用な書籍もある。
仕事内容や待遇も大事だが、決算の数字というのは嘘をつかない。企業業績を全く見ずに入社を決めることは、今後長く働いていくにあたって、ややリスクがあるのではないかと思う。

 

■まとめ
社長や経理に頼んでさらっと見せてもらうのが一番いいのだが、一社員に見せても会社側にメリットはないので、普通は嫌がるし怪訝な顔をされるだろう。決算書によっては、役員報酬が給与と別立てで記載されていて、社長や役員が一体どれくらい貰っているのかバレてしまう。
しかし、個人的には、財務諸表はすべての社員が見ることができたほうが良いと思うし、従業員でも数字の意識を持って働いたほうが楽しいと思う。逆にまったく数字に無頓着な社員でも「社長、今期の売上ってどうなんですか?」ぐらいは飲み会の席で聞いてみたらいいのではないだろうか。案外、社長も積極的に話してくれるかもしれない。

 財務諸表が読めない人は、まず読めるようになることから始めよう。簿記二級は必須。

*1:財務三表の場合、ここがキャッシュフロー計算書になる。