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サラリーマンの投資ログなど

経済初学者が3分でわかるアメリカの利上げとその影響について

3分でわかる政治経済と時事ニュース 3分でわかる政治経済と時事ニュース-アメリカの利上げ

28.1.24 追記あり

28.5.30 追記あり

28.9.22 追記あり

最近、ニュースなどで「アメリカの利上げ」という単語を聞くことが多いかもしれません。

この記事を執筆時点(27.12.12)では、まだアメリカの利上げは正式決定していませんが、12月の偉い人が集まる会議*1で、8割方利上げがアナウンスされるだろうと見られています。
「アメリカが利上げする」と聞いて、すぐにそれがどのような意味を持って、誰がどのような影響を受けるのか、想像できる人はどれだけいるのでしょう。そして、株価や為替がどのように影響を受けるのか、興味を持っている人は少なくないように感じます。
この記事は、「アメリカの利上げって美味しいの?」くらいの、割りと経済に対して強くない方向けにわかりやすいようにまとめてみたつもりです。

アメリカの利上げとは

一言で言うと、利上げ*2とは「市場に出回ってるお金を引き上げて、景気に少しブレーキをかけますよ」ってことです。

アメリカは2008年にリーマン・ショックが起こり、経済が激しく停滞しました。つまり、景気が悪くなり、市場にお金が出回らなくなったのです。そこで、偉い人達*3はお金をジャブジャブさせて景気を刺激するために、金利の引き下げを行いました。金利の引き下げは続けて行われ、最終的には「ゼロ金利政策」となります。

しかし、ゼロ金利というのは、言ってみれば異常な状態なわけです。金利無しでお金を貸しているんですから。だから、アメリカはできるなら、金利を上げて、正常化したいわけです。
しかし、利上げ、つまり「金融引き締め政策」というのは、景気上昇に対してブレーキを踏むわけですから、慎重にならざるを得ません。タイミングを間違えば、インフレ*4あるいは不景気への引き金となってしまうのです。

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実は、米国の利上げは去年から実施が決まっていたのですが、いつ実行するのか、イエレン議長*5というアメリカ経済における最も重要なおかっぱのおばちゃんはなかなか踏ん切りがつきませんでした。なぜなら、米国の利上げというのは世界経済に影響を及ぼす可能性があり、世界の中枢であるアメリカが世界経済を乱すわけには行かないからです。
実は2015年の夏にも実行する直前まで行ったのですが、記憶に新しい「ギリシャデフォルト問題」や「中国の株価大暴落」があったりして、なかなかタイミングが見つけづらかったわけです。
そこでこの冬、ようやくマーケットも落ち着きを取り戻しつつあり、米国の指標(非農業部門雇用統計など)も良くなってきたので、今回はさすがに実行するだろう、と関係者は見ているわけです。

前置きが長くなりましたが、「じゃあ結局利上げしたらどうなるわけ?」というのを見ていきましょう。

 

影響その1 「企業の業績が悪化する?」

米国の中央銀行の金利が上がると、各金融機関の金利も上がります。なぜなら、金融機関も中央銀行からお金を借りたり、他の金融機関からお金を借りたりしているからです*6。そうすると、銀行からお金を借りている企業の、利息の支払いが増加しますね。利息の支払いというのは費用なので、企業の利益はその分減少します。
つまり、企業の業績が悪化する可能性があります
企業の業績が悪化するとどうなるのか?業績が悪い会社の株なんて買いたくありませんよね。したがって、企業の株価が下落する傾向にあるのです。

 

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影響その2 「ドルがアメリカに集まりドル高になる?」

アメリカはずっとゼロ金利だったため、ドルや米国債を持っていても、あまり旨味がなかったわけです。ですから、企業や投資家は、多少リスクを取ってでも金利の高い新興国の通貨や国債に投資をしていました。それが、新興国における経済成長にもつながっていたわけですね。
しかし、アメリカが利上げをするとどうなるのか。アメリカの金利が高くなるなら、わざわざリスクの高い新興国へ投資するより、ドルや米国債を持っていたほうがいいよね、となるわけです。したがって、新興国からアメリカにマネーは引き上げられ、新興国の成長は鈍化する恐れがあります。
加えて、みんながドルを欲しがるわけですから、ドルが強くなります。そうです、ドル高です。当然、日本に投資されているマネーの一部もアメリカに引き上げられるわけですから、円安ドル高が進む可能性が高くなります。

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影響その3 「日本の株価が下がる?」

それで、結局のところ、自分にはどんな影響があるわけ?と思う日本の個人投資家の方も多いでしょう。
影響その1で説明したとおり、利上げは企業業績に影響を与える可能性が高く、投資家が毛嫌いして米国株は下落する可能性があります。日本の株式市場はアメリカのマーケット(外国人投資家)の影響を強く受けていますから、アメリカ市場につられてネガティブな反応を示す可能性もあります
しかし、一概に株価が下がるかと言えば、そうも言えなくて、基本的に円安になると、海外投資家は日本株を買いやすくなります(簡単に言えば、100円で120円のものが買えるわけです)。そうすると、マネーが日本に流入してくるかもしれないとも言うことができるし、そもそも、この利上げは1年も前からずーっと言われていることですので、アメリカのマーケットもすでに織り込み済みだと言う専門家も多いです。つまり、利上げが発表されても、「はいはいわかってますよ」という感じで、市場は何の反応も示さない可能性があります。むしろ、膿みを出したことが好感されて、株価が上昇するパターンだってありえます。

まあ、株が上がるのか下がるのか明確にわかれば、苦労しないで億万長者です。マーケットは生き物ですから、どう転ぶかは、一介のサラリーマン投資家である私にはわかりっこありません。

 

まとめ

ここまでのお話をまとめると、

●企業の業績が悪化する可能性がある
●アメリカの株が下がる可能性がある
●ドル高になる可能性がある
●円安になる可能性がある
●日本株も下がる可能性がある
●でも米国株に日本株も上がる可能性がある

というところです。

結果どうなるのか断定的なことが言えなくてすみません。
でも経済的な仕組みを知るだけでも、すごく面白いと思いませんか。利上げが実行されて、マーケットがどんな反応を示すのか。非常に楽しみな2015年の師走です。

 

おまけ ゼロ金利政策とは

・ゼロ金利政策とは
日本で言う日本銀行みたいなアメリカの中央銀行が金利をゼロにします、と言うと、市場にお金が出回るようになります。なぜなら、金融機関がお金を貸しやすくなるため、企業も容易に借り入れることができ、設備投資などに資金を回すことができるからです。企業も金利が低いから、割りと借りるハードルが低くなりますよね。
これはいわゆる「金融緩和政策」と言って、景気が悪い時にするものです。日本も景気の低迷がずーっと続いていて、ゼロ金利政策をやっていますね。異次元緩和とかもやっています。

ちなみに、アメリカも日本もゼロ金利政策とは言っていますが、その実質はゼロではないです。0%~0.25%を誘導目標にする、としていたりするのですが、まあそこまで詳しく突き詰める必要はないでしょう。事実上ゼロみたいなものですから。

 

28.1.24 追記

この記事を執筆後、アメリカは予想通り利上げを実施しました。利上げした直後はマーケットに好感を持たれたような印象を受けましたが、その後しばらくして、原油の価格が暴落し、中国市場も不安定な状況が続き、世界的な株安が広がっています。日経平均は一時1万6000円を割るほどの勢いで下落しました。
当初の予定では3月のFOMCで2回目の利上げが実施されるとの見方が強かったですが、現在の状況では、FRBのイエレン議長は慎重な判断を下す可能性が高いと見ています。
欧州の中央銀行ECBはアメリカの政策とは逆に金融緩和を視野に入れています。年明けからまったく目が離せない世界経済となっており、非常に勉強になる情勢といえます。

 

28.5.30 追記

初稿からすでに半年が経ちました。前回予想通りに利上げした後は、不安定な国際経済を理由にさらなる利上げを見送ってきたFOMCとイエレン議長でしたが、ここに来て「数か月以内の利上げ」を示唆しました。イエレン議長は「景気は改善を続け、経済成長も上向いてきているようだ。景気や雇用の改善を確かめ、ゆっくり、慎重に判断するつもりだが、向こう数か月のうちに可能になるだろう」と述べ、早ければ6月のFOMCで利上げに踏み切る、というマーケットの見方が強まってきています。

この報道を受けて、日経平均はポジティブな反応を示しました。マイナス金利を導入したけれど、日経も為替もなかなか思い通りにいかない日銀にとっては朗報になるかもしれません。現在の日本のマーケットがいかにアメリカ経済、あるいはFOMCに影響を受けているかが如実に表れています。

米FRB議長 追加利上げ「数か月のうちに」 | NHKニュース

 

28.9.22 追記

今回行われたFOMCにて、9月の追加利上げは見送ると、イエレン議長が発表しました。

米、利上げ見送り=年内実施に意欲、12月か (時事通信) - Yahoo!ニュース

イエレン議長は会見で「雇用改善と物価上昇のさらなる証拠を待ちたい」とし、引き続き利上げに対する意欲は見せています。

市場では12月の利上げ観測が高まったという見方が強まっています。 

 

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*1:FOMC・・・Federal Open Market Committeeの略でアメリカの金融政策における最高意思決定機関

*2:利上げ・・・ここで言う利上げは政策金利を上げること。政策金利は、中央銀行が金融機関にお金を貸し出す際の金利。

*3:FRB・・・Federal Reserve Boardの略でアメリカの中央銀行に相当する機関

*4:インフレ・・・貨幣の価値が下がること。昨日まで100円で買えたものが、モノの価値は変わらないのに150円になったりすること。

*5:イエレン議長・・・FRBの議長。女性では初

*6:インターバンク市場・・・金融機関が相互の資金の運用と調達を行う場。 取引参加者は金融機関に限定されている