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サラリーマンの投資ログなど

3分でわかるイギリスのEU離脱問題とその影響について

3分でわかる政治経済と時事ニュース 3分でわかる政治経済と時事ニュース-イギリスのEU離脱問題

(28.6.24 追記あり)
(28.10.3 追記あり)

イギリスがいま、EUを離脱するかどうかの瀬戸際に立っています。

来る6月23日(結果発表は日本時間24日)に国民投票が行われ、そこで離脱派の得票数が上回れば、イギリスがEUを離脱する可能性がぐっと高くなります。

この問題*1ですが、まだ国民投票の日が先だからか、遠い国の話だからなのか、なかなか日本では関心が高くないように感じます。「イギリス、EU離脱するってよ」てな感じで他人事のように思っている人も少なくないのではないでしょうか。

しかしながら、イギリスがEUを離脱すれば、当然ながら日本にも大きな影響があります。だからこそ、我々は6月23日の国民投票の結果を、注意深く見守らなければならないのです。

そこで今回は、そもそもなぜイギリスはEUを離脱しようとしているのか、そして離脱した場合にどのような影響があるのか、をできるだけやさしい言葉を使ってわかりやすく書いてみたいと思います。

なぜイギリスはEUを離脱したいのか?

そもそもイギリスは、経済的なメリットのあるEUをどうして自ら抜けようとしているのでしょうか。

ジョンソン前ロンドン市長をはじめとする離脱派の最も端的な主張としては、表向きには「国としての主導権を回復する」と標榜していますが、実際のメッセージとしては「これ以上移民・難民を受け入れられない」ということです。

何年も前から議論されているように、ヨーロッパではほとんどの国において、シリアやイラク、北アフリカからの難民受け入れ問題が生じています。

その中でも特に、難民にとってイギリスは人気国です。それはなぜか?イギリスの社会保障が手厚いからです。具体的に言うと、正式な手続きを踏んで難民として受け入れられれば、福祉手当という金銭が与えられたり、無料で医療施設を利用できたり、確実に住居が与えられます。みんな「イギリスは素晴らしい」と言うわけですね。

戦時国からの難民だけでなく、中国などからの移民も非常に多くなってきており、問題になっています。

とりあえずイギリスに行けばなんとかなる。そうやって移民・難民はイギリスを目指して行くのです。

EU加盟国には難民受け入れを拒否できない、という法律があります。移民についても、特別な理由がない限り拒否できません

だから、イギリスが移民・難民受け入れを拒否、あるいは制限するには、EUを離脱しなければならないのです。

 

どうしてイギリスは移民・難民を受け入れたくないのか?

それではなぜイギリスは移民・難民を受け入れたくないのでしょうか。それは、国民の税負担が重くなるからです。

基本的に、難民の衣食住の費用負担は、国の税金から賄われます。イギリスは、特別裕福な国ではありません。むしろ、財政は弱含んでいます。自国の財政もままならない状態で、本来使わなければならないところに税金が行かず、難民の受け入れ費用になってしまう。イギリス国民が不満を持つのも当然です。

それから、移民が増えると問題になるのが、仕事の面です。当然、移民はイギリスに来て、ぷーたら遊んで暮らすわけではありませんから、仕事をします。そうすると、もともとあった仕事をイギリス人と移民で奪い合うわけですから、イギリス人からしたらたまったものではありません。

さらには、他国の文化が入り混じることによるイギリス古来の文化喪失、また治安の悪化などの懸念も叫ばれています。

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もしイギリスがEUを離脱したらどうなる?

ここまで離脱派の主張を書いてきましたが、もしイギリスが本当にEUを離脱したら、どのような影響が起こるのでしょう。

一番大きな影響は、「ヨーロッパの中枢マーケットとしての地位陥落」です。もっと簡単に言うと、ロンドンが見捨てられる、ということです。

現在、世界のマーケットは、3つの都市を中心に回っています。まずはウォール街で有名なアメリカ・ニューヨーク、そしてアジア圏においては中国・上海、そしてヨーロッパを統括するのはイギリスのロンドンです。この3つを中心にしてマーケットを回すことによって、24時間の取引が可能となるわけです。

だから、ロンドンには各国の金融機関がこぞって拠点を置いています。イギリスがEUに加盟している現在、ロンドンに拠点を置けばEUのその他27か国でも許認可を求められず、自由にビジネスを展開できます。

しかしながら、イギリスがEUを離脱すると、もしかしたら、これらの企業がロンドンを出て行ってしまうかもしれないのです。要は、「ロンドンに拠点を置いても、ヨーロッパ展開できないじゃん」となるわけです。

おそらく、イギリスがEUを離脱した場合、金融機関の多くはドイツかフランスに移転すると言われています。

そうすると、当然、多くの失業者が出ます。この影響によって生まれる失業者は、残留派のデータによれば95万人に上ると言われています(イギリスの国民数は約6,500万人)。これは大事ですね。

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ポンドも売られ、ユーロも売られ…

さらに、イギリスがEUを離脱すれば、イギリスの国力の信用低下が発生します。EUという大きな後ろ盾を捨てて独り立ちするのですから、信用低下は当然です。

そうすると、イギリスの通貨であるポンドの価値が低下します。通貨の強さは国の力を表します。具体的には、ポンド円でH28.6.9現在の155円から120円ぐらいまで落ちるのではないかと見積もられています。

ポンドが弱くなるとどうなるのか。イギリスが他国のものを買うときに、より多くのポンドを支払わなければならなくなります。つまり、イギリスの購買力が低下するわけです。これは、イギリスの景気悪化にもつながります(お金が回らなくなるので当然です)。

さらに、イギリスの購買力が弱くなると、EU全体の景気悪化にもつながります。イギリスがものを買わなくなれば、それまで売れていたものも在庫になってしまって、ものもお金も流れが悪くなってしまうのです。

つまり、EU全体が不景気に陥る可能性があります。

さらには、イギリス経済の先行き不安から、マーケット全体に悪影響を及ぼす可能性も高くなってきます。

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日本への影響は?

気になるのは、日本にはどのような影響があるのか、というところですが、ヨーロッパが不景気になれば、日本にも悪影響が出る、というのはパッとわかると思います。

現在、イギリスに進出している日本企業の数は931社です。これはEUではドイツに次ぐ2位の企業数です。

さらに、日本の対イギリス直接投資の額は1兆7000億円です。これは、アメリカに次ぐ世界2位の金額です。

こういった数字だけでも、イギリスの景気が悪くなれば、日本もかなりのダメージを食らうことは理解できるでしょう。

さらに、前述したポンド安、ユーロ安になると、今度は日本の輸出産業にも大きな影響が出てきます。

ヨーロッパからすれば、ポンド安、ユーロ安になると、日本の製品はこれまでより買いにくくなります(例えば、今まで100ユーロで買えていたものが120ユーロになってしまう)。そうすると、日本の対ヨーロッパ輸出が落ち込み、日本経済全体の景気悪化にもつながってくるわけです。

 

まとめ

イギリスが移民・難民問題で苦しいのは理解できますが、世界全体への影響を考えると、「残留したほうがいいのでは…」と思ってしまいます。しかし、それは、イギリス国民自身が決断することです。

「国としての主導権を回復する」という離脱派の主張の通り、彼らにも一国としてのプライドがあるのでしょう。いつまでもEUに守られ、縛られるのは嫌だと。

(追記:コメントでも寄せられていますが、EUはドイツの独り勝ち状態なので、イギリスとしてはその状況を看過できないというのもあるかもしれません)

ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は、「イギリスはEUに残るべきだ。残留のほうがイギリスにとっても利益になる」と発言しています。

ドラギ総裁だけでなく、各国の首脳、あるいは経済界の主要人物も、さらには経済番組のコメンテーターもこぞって「EU残留」を求めています。

現在のところ、世論調査では、離脱が47%残留が44%と、わずかに離脱派が上回っているようです。かなり拮抗した状態が続いているようで、正直どちらに転ぶかわかりません。

6月23日、注目して見てみましょう。

 

追記 ポンド安になれば輸出が増える? (28.6.13)

この記事を書いた後、一番多く寄せられた指摘が「ポンド安になれば輸出が増えてイギリスにとっては良いことじゃないか」というものでした。

確かに、その指摘は一理あります。通貨安は輸出産業にとっては追い風ですし、日本は今円高で輸出産業が苦しめられています。

しかし、イギリスの輸出産業にとって、EUを離脱すると、大きな障壁が新たに生まれてしまいます。それは、EU諸国への輸出に対する関税の復活です。 

通常、国内で作った製品等を国外に輸出する際は関税がかかります。日本で海外のブランド物を買うと割高なのは関税分が上乗せされているからです。

しかし、EU圏内であれば、関税はかかりません。これは、EU内での貿易を助長する非常に大きなメリットのひとつでした。

しかし、イギリスがEUを脱退してしまったら、今まで関税のかからなかったドイツやイタリアやフランスへの輸出に関税がかかります。輸入代金がこれまでより高くなるので、イギリス製品は欧州諸国から敬遠されるかもしれませんね。

だから、「ポンド安=イギリスの輸出にとって追い風」というのは、一理あるけれども、手放しでは喜べない状況になる、ということを理解しておかなければなりません。

 

追記 国民投票直前の世論調査結果について(28.6.22)

国民投票の6月23日が、とうとう明日に迫りました。

これまで各調査機関が行なってきたイギリスのEU残留/離脱の世論調査は、ずっと拮抗した状態が続いていました。

その中である事件が起こりました。EUへの残留を呼びかけていたジョー・コックス下院議員が離脱派の暴漢に襲われ、銃弾2発を撃たれ亡くなりました。

この痛ましい事件によって、イギリス世論は徐々に残留に傾き始めました。世論調査でも残留派のポイントが上回り、その影響を受け世界のマーケットは少しだけ平穏を取り戻しました。

英の世論調査 議員殺害事件後ではEU残留が上回る | NHKニュース

しかし、国民投票が直前に迫った現在、調査会社サーベーションの世論調査によれば、残留派が45%、離脱派が44%と、その差は1ポイントまで縮まっていると報道されました。

ポンド・ユーロ下落、英世論調査でEU残留派のリード縮小=NY市場 | ロイター

結果が発表されるまでどちらに転ぶか全くわからない状況が続いています。

投票は日本時間23日15時から始まり、22時に終了します。24日の早朝か、遅くとも午後までには大方の結果が見えてくるでしょう。

 

追記 国民投票の結果を受けて(28.6.24)

イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が6月23日行われ、24日の今日、結果が発表されました。

イギリス国民が出した答えは「EU離脱」でした。

離脱票が51.9%、残留票は48.1%という僅差の結果でした。投票率は72.1%という、非常に高い数字であり、イギリス国民の関心の高さが伺えます。

英国民投票、「離脱派」勝利 51.9%獲得 結果判明 :日本経済新聞

市場はこの結果を受けて、大きく反応しました。為替は1ドル99円台まで円高が進み、日経平均は1,200円以上下げて本日の取引を終えました。円は対ユーロ、対ポンドともに強く円高方向に振れています。この追記を書いている時点ではNY市場が開く前ですが、おそらく下落傾向で始まるのではないか、と見ています。市場関係者の中には「リーマンショックの再来」と言って、これから大きな不況に突入するのではないか、と警笛を鳴らす人もいます。

この結果を受けての個人的な感想としては、非常に強い「驚き」と非常に深い「落胆」を持っています。イギリス国民の選択は、果たして今後の世界経済にどのような影響を与えるのでしょうか。

英国政府の動きとしては、残留派であったキャメロン首相が辞意を表明しました。今後、イギリスはEU離脱へ向けての手続きを進めていくと思われます。

英キャメロン首相が辞意 「10月までに新首相を」 :日本経済新聞

イギリスがEUを正式に離脱するには、2年ぐらいかかるそうです。このあたりの詳細については、また調べて記事を書きたいと思っています。

 

追記 メイ首相、来年3月に離脱通告へ(28.10.3)

国民投票でイギリスが「EU離脱」への道を歩みだしてから早三か月。この三か月は、傍目には何の進展もない、一歩も前に進んでいない期間でした。

なぜなら、EU離脱交渉は離脱側からの「通告」がなければ、離脱交渉さえ始まらないからです。

ここへ来て、ようやくイギリス側からのアクションがありました。

英 メイ首相「来年3月末までにEU離脱交渉始める」 | NHKニュース

イギリスのメイ首相が、演説にて「来年3月」の離脱通告を明言しました。このメイ首相の言説がそのまま実施されれば、離脱交渉は、そこからスタートし、2019年3月までにイギリスのEU離脱が完了する予定となります。

国民投票時のキャメロン首相からメイ首相に変わり、ようやく動き始めたイギリスのEU離脱。まだスタートさえしていません。

 

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