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3分でわかる福士加代子のレース強行出場とリオ五輪マラソン代表選考の問題点

3分でわかる政治経済と時事ニュース 3分でわかる政治経済と時事ニュース-五輪マラソン選考

リオデジャネイロ五輪の女子マラソン代表選考が問題になっています。

今回話題になったのは、代表選考レースである今年1月末の大阪国際女子マラソンで、優秀なタイムで優勝した福士加代子選手が、五輪代表の内定が得られないために、その約40日後に行われる選考レース名古屋ウィメンズに出場する、というニュースが報道されたからです。

この問題を調べているうちに、このマラソン代表選考はいろいろな問題をはらんでいることがわかりました。

この問題は、スポーツに興味のない方でも、関心を持って議論するべきテーマであるように感じます。個人的には、見過ごされてはいけない問題であると感じています。というわけで、選手側の言い分、陸上連盟からの視点、これまでの経緯などをわかりやすく解説してみたいと思います。

 

なぜ福士加代子選手は名古屋ウィメンズに強行出場するのか?

福士選手は、五輪選考レースである大阪国際女子マラソンで、2時間22分17秒というタイムで優勝しました。これは、日本陸上連盟が設定したタイムである2時間22分30秒を上回るタイムです。普通に考えれば、多くの人はこの成績でもって五輪代表当確と考えるでしょう。福士選手自身も優勝インタビューで「リオ決定だべ~」と笑顔で語りました。しかし、その後、福士選手サイドは、最後の選考レースである名古屋ウィメンズに強行出場すると発表しました。これはなぜか?

一言で言うと、五輪代表に落選する可能性があるからです

女子マラソンの五輪代表の枠は3人。そのうち、世界陸上で7位入賞した伊藤舞選手はすでに代表が内定しています。残り2枠を選考レースで決めるというわけです。

福士選手サイドは、選考レースで設定タイムをクリアし優勝したことで、陸上連盟から何らかの内定に近い連絡をもらえることを期待していたようです。しかし、陸上連盟からは、何の連絡もありませんでした。こうなると、名古屋ウィメンズで福士選手のタイムを上回る選手が2名以上出てきた場合に、福士選手は代表選考から落選してしまう可能性があるわけです。

だからこそ、名古屋ウィメンズで日本人最上位のタイムを叩き出せば、五輪代表の可能性は限りなく100%に近くなる、ということです。

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なぜ陸上連盟は福士選手に回避してほしいのか?

この福士選手の名古屋ウィメンズ出場に対して、陸上連盟は異例の声明を出しました。

「名古屋に出ることを避けてもらいたい」

陸上連盟はなぜ福士選手に出てほしくないのか?それは、中41日という強行日程で福士選手が出場した場合に、選手への負担が大きくなり、オリンピックでのパフォーマンスに影響が出てくること、そして、強行スケジュールで出場して福士選手が故障した場合に、陸上連盟に対する批判は避けられない、ということです。

陸上連盟としては、名古屋ウィメンズで複数名が福士選手の2時間22分17秒以上のタイムを出すことは、あまり想定していないようです。しかしながら、可能性がゼロとは言えない。何が起こるかわからない。だからこそ、現時点で、福士選手に内定を出すことはできないわけです。

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代表選考基準とは?

2013年にリオ五輪のマラソン代表に関する選考要項が発表されました。

・代表の枠は3名

・まずは世界選手権(昨年8月)で日本人最上位者に内定を出す

・残る2枠は、選考3レース(さいたま国際、大阪国際女子、名古屋ウィメンズ)の中で設定タイム(2時間22分30秒)をクリアした選手の中から優先的に1名、残る1枠は総合的な判断により決定

以上のようになっています。

前述したように、世界選手権で日本人最上位の伊藤選手は内定済みなので、残る2枠を福士選手他が争っています。

 

五輪代表選考の問題点

この代表選考基準の問題点とは何でしょうか。

例えば、今回のケースで言うと、名古屋ウィメンズで福士選手のタイムを上回る選手が2名以上出てきた場合に、まずは名古屋1位の選手が「選考レースのタイムで優先的に」選出されます。残り1枠は、大阪国際女子で優勝した福士選手と、名古屋ウィメンズで2位になった選手の、どちらかが「総合的な判断」により選出されるわけです。

だからこそ、福士選手は名古屋ウィメンズを優勝しても安心できないわけです。

現在の選考基準だと、選考レースを基準タイムでクリアしても、代表に落選する可能性があるわけです。だからこそ、五輪を見据えた理想的な調整をするには、難しい状況になってしまっているのです。

 

陸上連盟の過去の代表選考問題

ここまで世間が騒いでいるのも、過去に日本陸上連盟は、色々と議論を呼ぶような代表選考をしてきているからなのです。だからこそ、福士選手陣営も、陸上連盟を信頼出来ないわけで、今回の強行出場があるわけですね。

1992年 バルセロナ五輪

選考レースである大阪国際女子で当時の日本人最高記録を出して2位に入った松野明美選手と、世界陸上で4位に入賞した有森裕子選手が最後の1枠を争った。日本陸連が代表選考における世界陸上の位置づけを明確にしていなかったことで選考は混迷し、最終的に有森選手が選出された。(有森選手は結果的に銀メダルを獲得)

1996年 アトランタ五輪

大阪国際女子で選考レース中最高タイムを記録して2位に入った鈴木博美選手が落選した。当時の選考委員の間で「記録よりも優勝の方が重要」という認識があったとのこと。選考レースの東京国際女子で優勝の浅利選手、名古屋で優勝の真木選手、前回五輪銀メダルの有森選手が選出され、選考レース最高タイムの鈴木選手が代表から漏れた。

2000年 シドニー五輪

世界陸上銀メダルの市橋有里選手が内定。東京国際女子で山口衛里選手が、2時間22分代の好タイムで優勝。大阪国際女子で弘山晴美選手も、2時間22分台の好タイムで2位入賞。この3人で決まりかと思われたが、名古屋国際で高橋尚子選手が2時間21分代という驚異的なタイムで優勝。代表確実かと思われていた弘山晴美選手が落選した。(結果的に高橋尚子選手は五輪金メダル獲得)

 

 

選手がスポーツ以外のことで悩む必要が無い環境づくりを

福士加代子選手のファンはとても多いです。なぜなら、いつも明るくて笑顔だから。笑顔で走るランナーです。そのインタビューでも、明るくてユニークな性格が見られます。私は、選手がこのような問題に巻き込まれることが、残念でなりません。一生懸命練習して、五輪に出場していい成績を残したいだけなのに、このような複雑な選考基準によって満足な調整が出来ないという現状。スポーツ以外のことで、頭を悩ませてしまう現状は、日本のスポーツ界においても大きな損失となりうる問題です。

だからこそ、陸上連盟にはもっとすっきりとした明確な選考基準を設けてもらいたいと思っています。選手がスポーツに集中できる環境づくりをしていくことは、その選手が属する組織に与えられた使命ではないでしょうか。

 

福士選手のインタビュー動画「リオ決定だべ~」

 

 (「リオ決定だべ~」は2分17秒過ぎから)

 

28.3.1 追記

福士選手陣営が名古屋ウィメンズの欠場を発表しました。理由は「チームとしてのケーススタディーによる総合的判断の結果として」だそうです。ちょっとよくわからない理由ですが、オリンピック代表として選ばれることに懸けて、リオへの調整へ入ったということでしょう。メダルを狙うならば、最良の選択であると思います。(「総合的判断」というのは、陸連に対する皮肉だったりして…)

 

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