さようなら、憂鬱な木曜日

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さようなら、憂鬱な木曜日

サラリーマンの投資ログなど

三菱自動車は「ユーザー」だけではなく「従業員」や「下請け」に対しても頭を下げるべきである

ニュース ニュース-三菱自動車の燃費偽装問題

TVのニュースを見ていたら、三菱自動車の燃費データ不正問題の影響を受けて、仕事がなくなってしまった岡山県倉敷市にある中小企業を取材していた。

その中小企業の社長はかなりのご老人だったが、三菱自動車の下請けとして何十年も誠実に仕事をこなしてきた。それが、今回の不正で、三菱自動車の軽自動車の販売台数は4月だけで見ても半減し、減産を余儀なくされている。当然、工場も仕事がなくなってしまった。10名いたパート従業員はすべて辞めさせなければならなくなったそうだ。

「三菱自動車から、今回の件に関しては何も連絡が来ていません」とその社長は悲しそうに言った。

 

■三菱自動車が本当に謝るべきなのは誰に対してか?

先日行われた記者会見を見て、私は非常に引っかかるものがあった。その引っかかるものが何なのか、しばらくの間考えあぐねていたが、それは、一言で言えば、「三菱自動車の不誠実さ」である。

あの会見は、「ごちゃごちゃうるさいから仕方なく会見をした。補償金?金ならある。何か文句あるか?」と言わんばかりの内容であった。少なくとも私が感じた限りでは。

三菱自動車は、現在のところ、おそらく「ユーザー」に対してどう落とし前をつけようか、ということが最優先事項になっていると思う。補償金額の話になっても、ユーザーへのお詫び代とか、ガソリン代などの項目しか議論されていない(実際社内ではどうかわからないが)。

しかしながら、三菱自動車が本当に頭を垂れて謝罪しなければならないのは、これまで三菱自動車に尽くしてきた「下請け企業」や真面目に仕事をしてきた「従業員」に対してではないか?

 

■三菱グループ下請け企業の従業員は約41万人

三菱自動車グループの下請け企業は、帝国データバンクの調査によると、約7,800社、総従業員数は約41万人にも上るらしい。

今、彼らの生活が、本体企業の不正によって脅かされている。

冒頭で取材されていた倉敷市の中小企業は、私からすればリスクマネジメントのできていない愚かな社長だと思う。こういう事態は想定できることだし、想定しなければならない。

しかし、今さらそんなことを言ってどうする。三菱自動車に何十年も尽くしてきた企業に対して、「ちょっと問題起きたから、しばらく仕事ないですよ」と冷たく吐き捨てるだけなのか。いや、今のところ、そんな一言さえない。中小企業からしてみれば、ただ「仕事が来なくなった」だけだ。

 

■数十万人の生活に対する責任

三菱自動車は、大企業である。東証第一部上場の、歴史ある三菱グループの企業である。

ここまで大きな企業は、利潤の追求だけではなく、社会的責任もある。

彼らは、自社の保身をすると同時に、約41万人の下請け企業で働く人間のことも、考えなければならない。彼らの生活を守らなければならない。

「まずは自分たち」という理屈はわかる。本体が倒産したら、下請けは甚大な被害を被る。

しかしそれならば、記者会見で「金はある」と大見得を切る前に、下請け企業に対して頭の一つでも下げたらどうだ、と思う。

三菱自動車に何十年も尽くし、必死に働いてきて、何の説明もなしに「減産」の指示だけされた中小企業の社長の心を思うと、深く悲しい気持ちになる。

 

■従業員の賃金カットをする前に役員報酬のカットが先では?

それから、もうひとつ気になったのは、このニュースだ。

三菱自動車“不正”車生産の従業員 賃金カットへ

三菱自動車は岡山県倉敷市の水島製作所において、軽自動車のすべてを生産していたらしいが、自動車生産に関わる同製作所の従業員1,300人が現在自宅待機、賃金カットの予定だそうだ。

ここにも、三菱自動車の不誠実さが見える。

本体の不正で、一番被害を受けるのが、なぜ従業員でなければならないのか。

従業員の賃金カットを発表する前に、なぜ「役員報酬の減額」というニュースが流れてこないのか。

「責任を取れない」のなら、経営陣の存在意義は何か。今回の不正は、間違いなく経営陣の失態である。現場を監視できなかった、トップの怠慢である。まず経営陣が率先して「責任を取る」という態度を見せることが、誠実さを示すことなのではないだろうか。

経営陣は、自宅待機をさせる従業員たちに、何か説明したのだろうか。「今回の不正で迷惑をかけてしまって申し訳ない」と頭を下げたのだろうか。

従業員は、自分の会社の不祥事だから、それを受け入れるのは仕方ない。受け入れるべきだ。しかし、それはそれとして、トップからの説明はあったのか。謝罪はあったのか。彼らの生活は保障されるのか。

私の想像では、三菱自動車のトップは、従業員に頭を下げるなど、露ほども考えてないだろう。記者会見での態度を見て、そういう印象を受けた。

 

■三菱自動車の未来は信用を取り戻すことから

正直に言ってしまえば、今回の根幹の問題は、燃費のデータ不正という表立った事実ではない。「三菱自動車の不誠実さ」という深く、重要な問題が浮き彫りになっている。

これから、正式な燃費測定がされて、実測値の不正データとの差が解明されるだろうが、そんなのは瑣末なことだ。殆どの人がカタログ通りに走るなんて思っていない。目くじらを立てるようなことじゃない。

問題なのは、三菱自動車が消費者を騙していたことにある。その行為に対する信用失墜は計り知れない。三菱自動車は、これから何十年も掛けて、失った信用を取り戻していかなければならない。

その第一歩目として、経営陣は「下請け企業」と「従業員」に頭を下げるべきである。そういった誠意を持たなければ、三菱自動車に未来はない。

 

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