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サラリーマンの投資ログなど

経済初学者が3分でわかる日銀のマイナス金利とその影響について

3分でわかる政治経済と時事ニュース 3分でわかる政治経済と時事ニュース-マイナス金利

1月下旬の日銀政策決定会合で、日本初となる「マイナス金利」の導入が決定されました。ニュース速報にもなるサプライズでした。正直なところ、私もこの方向での金融緩和はまったく予想しておらず、正式発表前の日経の飛ばし記事が出た時でさえ、「まさかねえ…」と思っており、その数十分後に正式発表されたマイナス金利にコーヒーを吹き出しそうになりました。

大きくニュースにもなった「マイナス金利」ですが、そもそもマイナス金利って何?という方も多いと思います。我々の生活にどのような影響があるのか、というところがもっとも興味のある部分かとは思いますが、ここでは、なるべくわかりやすい言葉で、読みやすいように日銀が導入したマイナス金利を解説してみたいと思います。

マイナス金利とは一体何なのか?

通常の場合、我々が銀行に預金すると、微々たるものですが利子がつきますね。少しずつ増えていきます。これが、マイナス金利になると、預金している分の利子を、銀行へ払わなければならなくなります。これがマイナス金利です。

と言っても、今回の「マイナス金利」は日本銀行と各金融機関における金利の話であって、我々が利用する銀行の預金利子がただちにマイナスになる、というわけではありません。

各金融機関は日本銀行に口座を持っており、お金を預けています。今、預けている分には、これまで通り金利は付きますが、これから新規で預ける分についてはマイナス金利(-0.1%)が適用されます。

 

マイナス金利を導入するとどうなるのか?

それで結局のところ、どういう影響が出るの?という話になりますが、金融機関としては、日銀に預けていると、利子がつくどころか利子を支払わなくてはなりません。それなら日銀にお金を眠らせておくよりも、企業へ貸し出して金利収入を得たり、他の投資に回したりしよう、という動きになるわけです。

つまり、市場にお金を出回らせて、企業の設備投資と賃上げを後押しし、景気を刺激しようということです。最終的に、日銀は目標である物価上昇率2%に近づけていきたい、という意向があるわけです。アベノミクス3本の矢の1本ですからね。

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なぜいまマイナス金利なのか?

日銀の黒田総裁は、どうして今、「マイナス金利」を導入したのでしょうか。

日本の金融政策は2008年のリーマンショックからゼロ金利政策を導入してきており、もう金利はこれ以上下げられないと考えられて来ました。

だから、金利はもういじれないから、量的緩和質的緩和で対策を講じてきたわけです。

量的緩和というのは、日銀が金融機関から国債を買い取って、銀行が自由に使えるお金を増やして市場に出回らせようとする政策です。

質的緩和というのは、日銀が金融機関から買い取る資産の対象を広げて、超長期国債やETFなどの金融商品も買い入れようとする動きのことです。

どちらも、結局のところ、市場にお金を出回らせることが目的です。

しかし、この量的質的緩和には、もう限界が来ていました。今回の日銀会合でも金融緩和自体は予想されていましたが、「日銀に手持ちのカードは残っているのか?」という疑念がありました。緩和すると言っても、次何やるの?みたいな。

そこで黒田総裁が放ってきたのがマイナス金利です。

そもそも、金融政策というのは、金利を動かすことが正当なやり方です。しかし、日本はゼロ金利政策と取っていたため、動かしようがないと思われていました。

黒田総裁が今回マイナスの壁を破ってきたことによって、金融政策は3次元になり、非常に幅を持つことになりました。これは、今後の日銀の金融政策に大きな可能性を持たせる舵取りだと思います。

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世界的な傾向は?

昨年12月、アメリカの利上げが話題になりました。利上げは、今回日銀が取った政策とはまったく逆方向の金融政策です。市場から少しお金を引き上げて、景気にブレーキをかけようとする政策ですね。つまり、アメリカは今非常に景気が強いのです。

そんなアメリカに対して、欧州は日本と同様に金融緩和を続けています。今回の日銀政策会合の直前に、ヨーロッパの中央銀行であるECBが金融緩和を発表したことにより、年初から続いていた、原油安と中国市場の混乱による世界同時株安の進行に歯止めがかかりました。

 

我々の生活にはどのような影響があるのか?

日銀と金融機関との間でマイナス金利になったということは、少なからず我々と金融機関との間の金利にも影響してきます。すぐにマイナスということにはなりませんが、これまでより引き下げられ、将来的にはマイナスになることもあるかもしれません。

具体的には、住宅ローンや自動車ローンの金利もさらに低くなり、もちろん預金利子の金利も低くなる可能性があります

 

企業業績への影響は?

各企業にとっても大きな影響があります。この金利変動は、良い影響を受ける業界と、厳しい環境に立たされる業界があります。

まず基本的に銀行は苦しくなります。金利が低くなり、金利収入が減少するのであれば当然のことです(しかし、銀行は日銀からも借入をしているので、その利子がなくなると考えれば良い面もあります)。今回の発表を受けて、銀行株は軒並み下落しました。

逆に良い影響を受けるのは、不動産業界です。住宅ローンの金利が下がるのであれば、住宅ローンを組みやすくなり、不動産の販売がスムーズになりますね。

それから、観光業界や航空業界にとっても良い環境になります。金利の引き下げというのは、円安に繋がるのです。円を持っていても金利がつかないのだから、たくさん持っている人は他の通貨に両替したり、とにかく円で持っていても仕方がないので売りますね。そうすると、円安になるわけです。実際、年明けから円高傾向にあった為替が、一気に120円を大きく超える円安方向への動きとなりました。

円安になれば、今流行のインバウンド需要で、海外からの観光客が増えます。そのため、観光業界や旅行業界も、昨今ずっと続いているように良い環境が続くわけです。

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今後さらなるマイナス金利はあるか?

今回、マイナスの壁を突破した黒田総裁は、今後どのような金融政策を打ち出してくるのでしょうか。

一度マイナスに突入した金利は、さらなる引き下げがあるのか?

元日銀副総裁の岩田さんの話では、現金通貨(いわゆるタンス預金)で持つコストは、大体2%ぐらいだそうです。現金で持っていると、盗難や紛失のリスクがありますからね。そう考えると、2%ぐらいまでは可能性的にあるのではないか、と話していました。今が-0.1%ですから、まだまだマイナス金利の幅は存分に有ります。

日銀は物価上昇率2%の目標を、2016年後半から2017年前半へ後ろ倒ししました。黒田総裁は、この目標をなんとしてでも達成しようという、強い意識があるように思います。今後が非常に楽しみです。

 

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参考:テレビ東京「ワールドビジネスサテライト 1/29放送分」

 

2016.2.4 追記

先週の金曜日にマイナス金利が発表されたことを受けて、さっそく新生銀行が住宅ローンの引き下げを発表しました。現在も、多くの銀行が住宅ローンの引き下げを検討しているようです。

 

2016.2.9 追記

マイナス金利発表の後、一時的に円安方向に振れたドル円相場は、本日114円代まで円高方向に振れました。これは、世界的な株安不安によるものです。リスクを避けたい場合、世界中の投資家は円を買う傾向にあります。円が一番安全だと思っているからです。現在のところ、東証は円高によって厳しい状況を強いられています。この為替の流れは、日銀だけではどうしようもないほど強い流れのように思えます。

 

2016.3.11 追記

ECBが理事会において、包括的な金融緩和策を発表しました。これは、量的金融緩和の規模拡大と、金融機関がECBに預け入れる余剰資金のマイナス金利幅拡大です。0.3%から0.4%へと引き上げられることが決定されました。この政策は、日本のマイナス金利にとっても、引き上げという方法が現実味を増すという意味で重要な決定だと思います。(ちなみに、負担が増大する金融機関にはECBが資金的救済措置を取るそうです)

金融緩和を加速する日本と、欧州。利上げを敢行し、金融引き締めに移行したいアメリカ。世界経済のちぐはぐさが気になります。

 

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