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3分でわかるアメリカ大統領選挙の日程とその仕組みについて

3分でわかる政治経済と時事ニュース 3分でわかる政治経済と時事ニュース-アメリカ大統領選挙

(28.11.10 選挙結果を受けて追記しました)

来る11月8日の火曜日(日本時間9日)、とうとうアメリカの新しい大統領が決まります。正式に決まるのは来年になりますが、火曜日の「選挙人」を選ぶための一般投票で、ほぼ次の大統領は決定すると言って差し支えありません。民主党のヒラリー氏、共和党のトランプ氏、果たしてどちらになるのでしょうか。

しかし、この大統領選、年明けからずーっとやってるイメージありませんか?「一体いつまでやってるんだ?」と思っている方も少なくないと思います。

アメリカの大統領選挙というのは、独立時代から仕組み自体が変わっておらず、なかなか複雑なシステムかつ長いのが特徴です。

せっかくなので今回は、アメリカ大統領選挙の仕組みをエッセンスだけ凝縮してわかりやすい言葉で解説していきたいと思います。

 

アメリカの大統領選挙はなぜ長いのか?

冒頭でもアメリカの大統領選挙って長いよね、という話をしましたが、まずは「なぜ長いのか?」がわかると、それだけで全体の概要がわかります。

アメリカの大統領選挙は大まかに「予備選挙」と「本選挙」という2つの選挙に分かれます。

「予備選挙」は二大政党からそれぞれの大統領候補を選出する選挙です。これが大体1月~7月まで行われます。

そして、2名の大統領候補が決まったら、次のその2人から大統領を選ぶ「本選挙」が行われます。これが9月から11月までです。

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この2つの選挙を、あの膨大な土地と膨大な人口の中で、ほぼ1年かけて行われるわけです。アメリカ人も大変ですね。

さて、まずここで、第一ステップが「政党から大統領候補を選ぶ」、第二ステップが「各政党の2名の候補から大統領を選ぶ」という流れが理解できればオッケーです。

ここからは、各選挙の細かい部分について説明していきたいと思います。

 

予備選挙はどのように行われるのか?

各党から大統領候補を選ぶのが「予備選挙」と先ほど説明しました。

予備選挙も実は2ステップあって、まずは国民が一般党員の代理人となる「代議員」に投票して、その中から選出された「代議員」がその政党の大統領候補を選出します。

ん、ちょっとややこしくなって来ましたね。

まず「代議員」たちは、「Aという人を大統領候補として推薦します」という支持意思を明確にして立候補します。だから、Aに大統領になってもらいたい国民は、Aを支持する代議員に投票すればいいわけです。

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もしBが良ければ、Bを支持する代議員に投票します。

50の州で、民主党の代議員が4049名、共和党の代議員が2380名選出されます。

彼らはそれぞれ支持する大統領候補と紐づいていますから、この代議員が選出された時点で、民主党と共和党それぞれ「誰が公認候補になるのか」がわかります。支持する代議員がもっとも多い大統領候補が、党公認の大統領候補となります。

ちなみに、この予備選挙は大体火曜日に行われるのですが、多くの州が予備選挙を実施する2月から3月の上旬の火曜日は「スーパーチューズデー*1」と呼ばれています。このあたりで大勢が決することが多いです。

今年の予備選挙の結果は?

ちなみに、二大政党それぞれ誰が公認候補になったのかはご存知かと思いますが、この予備選挙はどんな結果だったのか、参考までに載せておきます。

民主党(指名代表に必要な代議員数は2,383名

  • ヒラリー氏 2,811名
  • サンダース氏 1,879名

共和党(指名代表に必要な代議員数は1,237名)

  • トランプ氏 1,542名
  • クルーズ氏 560名
  • ルビオ氏 167名
  • ケーシック氏 161名

 

予備選挙ではなくて、集会で決める州もある

予備選挙のやり方は、各州によって違います。

投票所に行って投票するやり方ではなく、学校や公民館のようなところに集まって、話し合いで代議員を決める州もあります。これは、「党員集会」と呼ばれます。

個人的には話し合いではなかなか個人の意見が反映されにくい気がするのですが、そこは日本とアメリカの文化の違いなのでしょうか。

 

一般代議員と特別代議員

代議員は、基本的に一般市民が立候補でなれるのですが、代議員のうち20%は「特別代議員」と呼ばれる特別な人たちです。これは、州知事や連邦議員からなる代議員であり、何が違うのかというと、「選出された後に、自分の意志で支持する大統領候補を変更できる」というところです。

「Aを支持します」と言っておきながら、選出された後に、「やっぱりよく考えたらBだわ」と言うことができるのです。さすが特別ですね。

 

党全国大会で正式に党公認候補が決まる

選出された代議員たちは、7月に、それぞれが「党全国大会」というものを開き、そこで代議員たちが選挙をして、党の公認大統領候補を決定します。

前述したように、ほとんどの代議員は、すでに「誰を支持するか」を表明しているので、結果はすでにわかっているもの同然なのですが、ここでは党の結束を高めて、自分たちの党から大統領を出すぞ、と一致団結することが目的という一面もあるようです。

共和党の党全国大会では、トランプ氏を支持しない有力代議員たちが何名も欠席しました。

今回に関しては、民主党はヒラリー・クリントン氏が公認候補に、共和党はドナルド・トランプ氏が公認候補になりました。

 

ちょっと休憩 今年のテレビ討論会について

公認候補が決まった後は、両候補がテレビ討論会などで、有権者に対して自身の政策や構想を知ってもらいます。

…のはずだったのですが、ニュースで観た方もいらっしゃるかもしれませんが、今年のテレビ討論会は、ヒラリー氏とトランプ氏の上げ足の取り合いで、政策論争とは程遠い内容となってしまいました。お互いのスキャンダルを指摘し、イメージダウンを図る。多くの識者は、この内容に呆れていました。

 

本選挙はどのように行われるのか?

さてさて、お待たせしました。ようやく、来週の火曜日(11月8日)に行われる「本選挙」の説明です。

この本選挙で、次のアメリカ大統領が決まると言っても過言ではありません。

予備選挙では「代議員」がキーワードでしたが、本選挙では「大統領選挙人」がキーワードになります。

有権者は、まずそれぞれの州から「大統領選挙人」を選出します。

この選挙人は、代議員と同じように、最初から「A候補を支持します」と表明しています。だから、Aに大統領になってもらいたい人は、Aを支持する選挙人に投票すればいいわけです。簡単ですね。*2

本選挙では、50州+ワシントン特別区から人口に比例して総勢538名の選挙人が選ばれます。

この本選挙で過半数となる270名の選挙人を集めた大統領候補が、次の大統領となります。

 

本選挙は勝者総取り方式

この本選挙は、ちょっと特殊なシステムになっています。

例えば、選挙人が7名割り当てられた州があったとします。その州で、民主党候補者を支持する選挙人が4名、共和党候補者を支持する選挙人が3名選出されたとします。

その場合、その州における選挙人は、7名全員が民主党候補者を支持することになります。

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要するに、「州としてのメッセージはどちらかに統一する」ということなのでしょう。

※ネブラスカ州とメイン州は、勝者総取り方式を採用していません。

 

12月に選挙人による大統領選挙が行われる

11月8日に選出された選挙人によって、12月に「大統領選挙」が実施されます。

すでに選挙人の支持する候補は表明されているので結果はわかっているのですが、ここで正式に、あらためで大統領選挙を実施します。この選挙で、過半数の得票を獲得した候補者が、晴れてアメリカ大統領となるわけです。

この選挙結果が、年明けに開票が行われ、来年の1月下旬には、新しいアメリカ大統領の就任式が行われることでしょう。

そこに登壇するのは民主党ヒラリー氏か、共和党トランプ氏か、注目です。

 

両政党の公認候補について

民主党代表 ヒラリー・クリントン氏

ヒラリー・クリントン(69歳)

夫は元大統領のビル・クリントン氏。現職の弁護士、上院議員であり、オバマ政権下で2009年~2013年まで国務長官を務めています。

主な政策としては、犯罪司法制度の改革、大学の学費負担の軽減、包括的な移民制度改革を挙げています。TPPについては、再交渉を示唆しています。

ヒラリー氏は、2008年の大統領選にも立候補していましたが、同じく民主党のオバマ氏に予備選挙で敗れました。しかし、その後もオバマ政権下で長官を務めるなど、政治経験は非常に豊富です。その一方で、ダイナミックな変化はあまり期待できないかもしれません。

また、いわゆる「ヒラリー・メール問題」が取りざたされています。

これは、ヒラリー氏が国務長官時代に、公務に私用メールを使用し、国家の重要機密を扱っていたとして、FBIが捜査している、というものです。

この問題が大統領選にどこまで影響してくるのか、という点も議論されています。

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共和党代表 ドナルド・トランプ氏

ドナルド・トランプ(70歳)

不動産王と呼ばれ、不動産会社で巨万の富を得る。ホテル経営やカジノ経営にも進出、さらにテレビ番組のMCを2015年まで11年間務めました。

過激な発言を連発し、「イスラム教徒をアメリカ入国禁止にすべき」「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込んでくる」「移民なんかくそくらえ」など枚挙に暇がありません。差別的発言であるとして、嫌悪感を示している人も多数います。

一方で、現在の政権に不満のある人や、現実がうまく行っていない人たちにとっては「何かを変えてくれる」という期待のもとにポピュリズム的人気があります。

主な政策は低所得者の所得税免除、移民受け入れ拒否、テロ対策としてのイスラム教徒入国禁止などがあります。「強いアメリカを取り戻す」が根底にあるようです。

トランプ氏には多くの女性問題が噴出しており、過去にセクハラを受けたという女性がすでに10名近く名乗りを挙げています。

「大統領としての品格」を疑問視する声もありますね。

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今後の詳しい日程と日本時間について

11月8日(火)に本選挙が行われますが、実際に開票が行われ始めるのは、日本時間11月9日(水)の午前8時頃からと言われています。

州ごとに時差があるので、徐々に開票が行われ、早ければ日本時間の9日お昼頃には大勢の結果が判明していると思われます。

 

現在の情勢と結果の予測について

長い選挙戦の間、ずっとヒラリー氏のリードで戦線は進んでいたのですが、中盤、ヒラリー氏のメール問題が噴出したときに、一度トランプ氏の支持率がヒラリー氏を上回った場面がありました。

その後は、またずっとヒラリー氏の支持率がリードして終盤を迎えましたが、直前になってFBIがメール問題を再捜査するという憶測が流れたことで、二人の差は非常に僅差となっているようです。

直近の支持率では、ヒラリー氏が46.6%、トランプ氏は44.8%となっており、その差は1.8ポイントしかありません。

世論調査における選挙人の獲得見込み数はヒラリー氏が216人、トランプ氏が164人です。(当確ラインは270人)

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選挙戦の結果を左右するのは、以下の支持が拮抗している州となるようです。この州がどちらに転んでくるかで、二人の命運は分かれるでしょう。

州名選挙人数
ニューハンプシャー     4
ペンシルベニア    20
ノースカロライナ    15
フロリダ    29
オハイオ    18
アイオワ     6
コロラド     9
ネバダ     6

世論調査では「トランプ支持者は真面目に答えていない」との見解もあり、隠れトランプ支持者が多数いれば、波乱も起きるだろうと、日経新聞では報じています。

さて、一体どうなるのでしょうか。 

 

28.11.10 トランプ大統領、誕生

日本時間9日の夕方ごろ、アメリカ大統領選はドナルド・トランプ氏が当確、との報道がなされました。そのまま流れは変わらず、トランプ氏の勝利となりました。

正直、驚いています。

心のどこかで、結局はヒラリーだろう、という気持ちがあったのだと思います。

9日の日経平均は暴落し、マーケットも同様の色を隠せませんでした。

しかし、私は、ポジティブに捉えています。トランプ氏は、別に世界をはちゃめちゃにしようなって思っていないのです。

トランプ氏が掲げるテーマは一貫して「強いアメリカを取り戻す」です。

だからアメリカに貿易上不利となりうるTPPに反対し、日米安保における米軍の日本防衛についても、「日本を守るのだから、もっと防衛費を負担しろ」と言っているわけです。

ビジネスマンらしく、利益と損失で考える。わかりやすくて良い。

今まで「世界の警察」だったアメリカは、グレートアメリカを取り戻すために、まずは自国の利益にプライオリティを置くでしょう。

私たちは、今までアメリカに頼りすぎていました。結局は、アメリカが助けてくれると思っていました。しかし、そういう時代はもう終わったのです。

みんなが自立して、それぞれ経済にしろ外交にしろ、考え行動していかなければならないのです。

「アメリカの孤立主義が始まった」とある専門家は言いました。私はそうは思いません。

アメリカも自国の利益になるのであれば、喜んで他国と組むでしょう。

要するに、是々非々で物事を考えていきましょう、ということです。それは、当たり前の話です。

これから、トランプ氏がどのようなアメリカを作っていくのか、そして世界がどう変わっていくのか、不安半分、楽しみ半分です。

 

その他の時事ニュースについても解説記事を書いています。

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*1:なぜ火曜日なのかというと、昔は交通機関が発達していなかったため、キリスト教における安息日である日曜日のあと、月曜日に一日かけて投票所へ行き、火曜日に投票するという選挙文化があり、それが今でも残っているようです。

*2:投票用紙には大統領候補の名前が書かれており、一般投票者は大統領候補に直接チェックするため、選挙人を選んでいるという意識はない、という話もあります。