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サラリーマンの投資ログなど

3分でわかる待機児童問題とその原因について|認可保育所と保育士が足りない!

政治経済・投資 政治経済・投資-待機児童問題

先日、大学時代の同期と忘年会をやりました。

今では1年に1度集まれるかどうか、という状況になってしまいましたが、6人ぐらいで集まって、近況報告をしています。

私たちぐらいの年代になってくると、結婚して子供が生まれているケースも少なくありません。実際に、その忘年会でも、子供の話は出てきました。

そこで、驚いたというか、衝撃を受けた一言がありました。

私の隣に座っていた友人は去年子供が生まれたのですが、私に対してこんなアドバイスをしてきました。

赤ちゃんが生まれる時は、待機児童の少ない自治体に引っ越した方がいいよ

この一言で、私は、数年前から大きな問題となっているのにどこか他人事だった待機児童問題が、実体化して眼前に現れた印象を受けました。

他人事じゃない。本気で考えなければいけない問題なのだ、と。

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30秒でわかる待機児童問題

老婆心ながら、待機児童問題についてさらっと解説させていただくと、保育園というのは自治体に認められた認可保育園(正式には認可保育所)と、認可保育園以外の無認可保育園認定こども園といった施設があって、待機児童というのは広義では「認可保育所がいっぱいで入れない児童」のことです。

認可保育所の数に対して入所希望の児童(家庭)が過多なため、こういった状況が生まれているわけです。

なんで認可保育所の方がいいかというと、ひとつは「保育料が安い」のです。認可保育園の保育料は、所得に応じて決定されますが、大体2万~5万円です。

それに対して、無認可保育園は5万円~8万円といったところが多いようです。無認可保育園はピンからキリまでありますのでなんとも言えませんが*1、国の基準を満たした認可保育園と同等の保育を受けたいとなると、やはりある程度の保育料は必要になってくるでしょう。

友人が言っていたのは、「認可保育園に入れなかったら、月7万円の保育園だった。正直、保育園で7万円はかなりきつい」ということです。

保育園に入れなければ、夫婦がフルタイムに近い状態で共働きするのは、特別なサポートがない限り不可能に近いです。そういうわけで、2016年大きな話題を呼んだあの記事のような悲鳴が生まれてしまうのです。

保育園落ちた日本死ね!!!

結局、「認可保育所に入れるかどうか」というのは、赤ちゃんのいる家庭にとって、死活問題なわけですね。

 

待機児童の少ない自治体へ引っ越すということ

そこでキーワードになってくるのが、「待機児童の少ない自治体」です。

認可保育園というのは、自治体ごとの運営なので、自治体ごとに待機児童の数は変わってくるのです。

「今住んでいる自治体だと認可保育園は難しいけど、隣の市なら認可保育園に入れるかも」という状況が生まれてきます。

イメージしやすくするために、東京都の待機児童数の比較図と東京23区保育園マップさんから引用させていただきます。

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東京都の場合、世田谷区の待機児童が最も多いです。逆に、都心である千代田区や港区は待機児童が少なくなっています。

世田谷に住む子育て家庭は、もし認可保育園への入園を重要視するなら、都心部への引っ越しは家賃の問題もあるでしょうしなかなか現実的ではないものの、その隣の杉並区や練馬区への引っ越しは十分考えられる選択肢ではないでしょうか。

そういったことを念頭に考えると、子供が生まれる前にマイホームを持つ場合は、待機児童数の下調べもしておく必要があるように思います。

 

なぜ待機児童はいなくならないのか?

都市部に集中している待機児童

待機児童問題の根本的な原因は、都市部に人口、自働が集中しているからです。

認可保育所の定員は233万6千人で、前年より4万7千人分増えています。それでも待機児童がいなくならないのは、必要な場所に必要な数の保育園が配備されていないからです。

以下の厚労省が発表している図を見ていただければ、都市部に待機児童が集中していることが分かると思います。

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(引用:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098603.pdf

 

新たに認可保育所を建設することの難しさ

そうなってくると、「なんで都市部にもっと認可保育所を建設しないのか」という話になりますが、認可保育所を新しく建設するのはそう容易いことではないのです。認可保育所を建設するまでの障壁は大きく二つあります。

  1. 都市部のため、国の基準を満たす土地・施設・園庭の広さを確保することが困難
  2. 「子供の声がうるさい」などの理由で近隣の住民が建設に反対する

少なくとも、この2つの問題をクリアした地域でないと、認可保育所の建設をすることは難しいのです。

 

過酷な労働環境による保育士不足

さらには、認可保育所を建設したとしても、そこで働く保育士の確保も困難な状況にあります。

東京の保育士の有効求人倍率は、去年のデータで言うと、5.44となっています。この数字は、簡単に言うと、仕事を求める保育士一人に対して、保育士を求める保育所が5つ以上あるということです。全国でも有効求人倍率は1.88となっています。

なぜこんなにも保育士が不足しているのか。それは、過酷な労働環境にも拘わらず低賃金であるからです。

人手不足のため、一人当たりの業務量は当然増えています。サービス残業も多いようです。一人当たりが見る児童の数が多ければ、それだけ気も使いますし、消耗します。そこでミスをすれば、大事な子供を預けている親からの容赦ないクレームが飛んできます。保育士の過酷さは想像に難くありません。

さらには、その労働に見合った対価が得られているかどうかですが、はっきり言ってかなり厳しい待遇です。

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(引用:保育士の給料・年収 | 保育士の仕事、なるには、給料、資格 | 職業情報サイトCareer Garden

保育士の平均年収はほぼ全年代で300万円~400万円台前半となっており、20代の若手保育士は手取りが15万円に満たないことも珍しくないようです。

いくら子供が好きで、やりがいを求めて仕事に打ち込んでいる人でも、この待遇では心が折れてしまうのも無理はないと感じます。

 

各都道府県の待機児童数

参考までに、都市部での2016年度の待機児童の数を公式発表に基づいて引用しておきます。後述もしておりますが、ここでの発表データ=実質的な待機児童数、ではないのでご注意ください。

東京都

東京都地域待機児童数(人)
1位 世田谷区 1,198
2位 江戸川区 397
3位 板橋区 376
4位 渋谷区 315
5位 足立区 306
6位 目黒区 299
7位 府中市 296
8位 調布市 289
9位 江東区 277
10位 三鷹市 264

 

神奈川県

神奈川県地域待機児童数(人)
1位 茅ヶ崎市 89
2位 藤沢市 55
3位 伊勢原市 47
4位 鎌倉市 44
4位 綾瀬市 44
6位 座間市 43
7位 海老名市 27
8位 小田原市 22
9位 横須賀市 19
10位 逗子市 19

 

埼玉県

埼玉県地域待機児童数(人)
1位 戸田市 106
2位 川口市 98
3位 朝霞市 79
4位 草加市 77
5位 新座市 70
6位 狭山市 69
7位 川越市 67
8位 三郷市 46
9位 越谷市 38
9位 東松山市 38

 

千葉県

千葉県地域待機児童数(人)
1位 市川市 514
2位 船橋市 203
3位 流山市 146
4位 木更津市 92
5位 浦安市 79
6位 富里市 73
7位 習志野市 70
8位 八千代市 53
9位 四街道市 44
10位 佐倉市 41

 

大阪府

大阪府地域待機児童数(人)
1位 大阪市 273
2位 吹田市 230
3位 豊中市 217
4位 茨木市 147
5位 東大阪市 127
6位 池田氏 71
7位 八尾市 47
7位 交野市 47
9位 和泉市 44
10位 島本町 41

 

福岡県

福岡県地域待機児童数(人)
1位 糟屋郡須恵町 125
2位 太宰府市 124
3位 春日市 121
4位 筑紫野市 95
5位 大野城市 91
6位 久留米市 78
7位 福岡市 73
8位 糟屋郡粕屋町 57
9位 糟屋郡宇美町 45
9位 糟屋郡志免町 45

 

 

待機児童≠認可保育園に入れなかった児童の数

ここで紹介した待機児童の数を見て、「あ、ここの自治体は待機児童少ないじゃん。引っ越そう!」となるのは早計です。実は、各自治体によって待機児童の定義が違っていて、待機児童=認可保育所に入れなかった児童の数、ではないのです。

例えば、待機児童の中には、「認可保育園には落ちたから、仕方がないから無認可保育園に入っている」という人は入っていません。

つまり、潜在的な待機児童は、本記事において引用したデータの待機児童の数よりも多い、という可能性があるということです。

待機児童の定義は、国が発表するときに見せかけ上の待機児童を減らすために、定義を変更していたりするので、あまりはっきりしていません。

個人的には「希望しているのに認可保育所に入れなかった児童」の数が一番しっくりくるのではないかと思っていますが。

 

まとめ

忘年会での友人の一言をきっかけに、待機児童問題についていろいろ調べてみたわけですが、このテーマがはらんだ複雑に絡み合った問題を認識して、愕然としました。

「待機児童問題」と一言で言っても、都市部への人口集中、保育士の待遇など、何か一つを解決すればいい、という問題ではないのです。

この問題を解決するために、各自治体も、補助金など様々な側面からサポートをいていますが、根本的な問題解決には至っていないようです。

少子化問題が叫ばれる中で、この待機児童問題は、少子化を加速させる要因にもなりかねません。

国家としての大きな問題として、私たちはこの待機児童問題と向き合っていかなければならないのだということを、深く感じました。

  

参考記事

待機児童問題:朝日新聞デジタル

「恥を承知で言います」 職歴35年の保育士が叫ぶ、保育士不足の原因は… – grape [グレイプ]

子育てJAPAN | 保育園の待機児童情報を中心とした子育て情報支援ブログです。

保育士不足の現状①~データから見えてきたこと~ - ほいくらいふ

待機児童問題と保育園不足問題 ~その1:本質的な問題は何か~ | 子ども(子供)(保育)×社会 | DIVERSITY x CREATIVITY

*1:無認可保育園は24時間保育や深夜受け入れをやっているところもあり、認可保育園よりも融通が利くというメリットはある