私はクロスバイクを一台持っている。
Giant製のEscape R3という非常にコストパフォーマンスの良いクロスバイクで、自転車乗りには有名なモデルだ。
乗る用途としては、休日の街乗り用がメイン。ヘルメットをかぶって、サイクリングロードを走ったりはしない。飽くまで移動手段としての自転車。
私は私なりにこの自転車との距離感で楽しんでいる。
そんな街乗りメインの私でも、たまに自転車の整備が必要な時がある。
ほとんどの場合はパンク修理だが、クロスバイクの場合はママチャリと違って、定期的なチューブ交換やタイヤ交換も必要になる。
ママチャリよりは自転車屋へ行く回数は必然的に多くなる。
自転車乗りにとって、良い自転車屋と巡り合うことはとても重要だ。しかし、良い自転車屋はなかなか巡り合えない。というか、この世には、悪い自転車屋というものが存在する。
私はいろいろな自転車屋を回ってきたが、本当に最悪な自転車屋がいくつもあった。
今日は、そんな悪い自転車屋について書いてみたい。
悪い自転車屋の特徴
知識・技術がない
もっとも罪深いのが「自転車整備についての知識・技術がない」ということ。
素人の私が言うのもなんだが、「あんたそれでもプロか?」と思うようなショップにいくつも当たってきた。
つい先日も、自転車の後輪にブレがあったので、ある最寄りの自転車屋に見せにいったら「あー、スポーク(ホイールを支える棒)が逝ってるのでうちじゃ無理っすね」と言われた。
悲しみに暮れながら、ダメ元で一つ隣駅の自転車屋にいったら「スポークが緩んでますね」と言って、15分で簡単に直してしまった。
最初に行った自転車屋の対応は一体何だったのだろう。あいつは一体何を見て「スポークが逝ってる」と言ったのか。後から思い出しても腹が立つ。
この場合は、隣駅の自転車屋が非常に良い自転車屋であることを発見できたので、災い転じて福と為した。
このエピソードに限らず、今までに「あんたそれでも自転車屋か?」と思うような店に何度も当たってきた。一度そういうことがあればその店は避けるのだが、あまりにも多くて辟易する。
愛想が悪い
これは基本的なことだが、「愛想が悪い」のは客商売として致命的である。
例外は職人肌の親方みたいな人がやっている個人店だ。確かな技術を持った職人に愛想がないのはむしろ愛嬌だ。
私が想定しているのは全国チェーンで展開している自転車屋で、私と同世代位(30代)の人間である。
「いらっしゃいませ」の一言もない。店の中に入っても、カウンターまで行っても店員が寄ってこない。話しかけると「何か用?」とでも言わんばかりの対応。
単純に、「行ったら不愉快になる自転車屋」は間違いなく悪い自転車屋だ。そんな店は潰れてしまったほうが良い。
異常に待たせる
良い自転車屋はパンク修理だろうがタイヤ交換だろうが、すぐにやってくれる。技術があってテキパキやってくれるからだ。
悪い自転車屋は、パンク修理でも「半日かかりますね」とか言ってくる。そもそも、客を待たせることに罪悪感を全く感じていない。
私の不愉快な経験で言うと、直してもらいたい箇所があったので、朝一で最寄りの自転車に電話した。
「タイヤの振れとりしてもらいたいんですけど、時間ってどれくらいかかりますか」
「見てみないとわからないっすね」
「持っていけばすぐに取り掛かることはできますか?」
「いや、見てみないとわからないっすね」
「いやいや、取り掛かれるかどうか聞いてるんだけど」
「実物見てみないと…」
「じゃあ最大でどれくらいかかるんですか」
「MAX1日とか2日っすかね」
私はこの電話を切った後、しばらく怒りが収まらなかった。なんと要領の得ない対応だろうか。
しかもこの対応が「めんどくせえなあ」という感情が露わに出た感じの対応で、「そんなに仕事嫌なら辞めちまえ」と思った次第である。
ちなみに、このタイヤの振れとりも別の店で見てもらったら、10分で終わった。
無闇にパーツ交換をさせようとする
悪い自転車屋は、客の利益を考えず、店の利益のみを考える。短期的には経営として正しいのかもしれないが、長期的には最悪の方針だ。
一番端的なのは、「パンク修理」の場合だ。
みなさんも、パンク修理で自転車屋にもっていった場合、こんなことを言われた経験はないだろうか。
「チューブが弱っているので、チューブも交換しなきゃだめですね」
こうして、客にチューブ交換、さらにはタイヤ交換までさせる。
本当にチューブが弱っているならまだいい。しかし、私の場合、ある悪い自転車で言われるままにチューブ交換をしたら、その1か月後にまたすぐパンクをして、パンク修理に持って行ったら、また「チューブ交換ですね」と言われた。その時は、さすがに呆れてしまった。
土日にしか乗らない街乗りの自転車のチューブが、1カ月で劣化するんですか。
もしそうだとしたら、あんたの店が変えたチューブがどんだけ劣悪品なんだよ、と悪態をつきたくなりました。
自転車屋にとって、パンク修理は金になりません。チューブ・タイヤ交換というオプションをつけて利益を上乗せするのが、その店の方針のようです。
良い自転車屋は“本当に”交換が必要な時にしか、オススメしてきません。
乗り手の安全を考えていない
良い自転車屋は、依頼した整備を完了した後に、必ずブレーキパッドのチェックなどをしてくれる。
ブレーキの整備不良は、乗り手の生死に関わるからだ。
ブレーキをきちんとチェックしてくれる自転車屋が、本当の意味での自転車屋と言える。
悪い自転車屋は、頼まれたことだけやって、あとは勝手にどうぞ、という感じで引き渡す。
ブレーキパッドが摩耗してようが関係ない。
冒頭に紹介した「スポーク不良」だって、一歩間違えれば大事故につながるが、「うちじゃ無理っすね」といってそのまま放流された。乗り手の安全なんてどうでもいいのだろう。
良い自転車屋の探し方
ここまで悪い自転車屋の特徴を紹介してきたが、「どうやって良い自転車屋を見つけたらいいの?」という疑問が初心者には湧いてくるだろう。
個人的なオススメとしては、「メーカーと公式販売契約を交わしている個人店」が当たりが多い。
私の場合は自分が乗っているGiantの公式ホームページに載っている最寄りのショップを探した。
メーカーはスポーツ自転車のメーカーが良い。スポーツ自転車を扱うショップは、知識がある整備士がいる確率が高い。
店頭にママチャリとか原付とかが置いてあるいわゆる街の自転車屋さんは、一か八かの勝負になってしまうだろう。
全国チェーンのお店は悪い自転車屋なのか?
全国チェーンの自転車屋もいくつかあるが、はっきり言って悪い自転車屋が多い。
店舗によって異なるので必ずしも悪いとは言えないが、良い自転車屋である確率は低い。
私の経験上、最大手「サイクルベースあさひ」の地雷率は高い。よほどのことがない限り利用しない。
「Y's Road」は店舗によって差が激しい。新宿店はまあまあ良かった。
「セオサイクル」は個人店がFCに加盟しているだけなので実質個人店。私の印象はかなり良い。
あと、イオンなどのデパートに入っている自転車屋も基本的には知識はないと思っていい。まあ、それを求めてる人は客層的に少ないだろうけど。
注:この記事は、主にクロスバイクなどのスポーツ自転車を乗る人向けに書かれています。ママチャリなどの整備はまた違った観点があると思うので、念のため。